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(↑なんだか聞いてて情けなる決意)
えーと、ハッピーハロウィン♪ です
特になりもしませんが、なんとなく母に言ってみたら剥き栗くれました。わーい
折角なのでハロウィン短編小説など
ネタはTOPのチビズ三人で
(とかいって、書いてたら日付変わっちゃったよ! あうちっ)
細やかな彼らの『王国』で少年は物語を紡ぎ、金色の瞳の少女は少年が繰り出す世界に耳を傾けていた。
少年の紡ぐ物語に金色の瞳の少女が反応を返すことはない。
少年はそれを物足りなく感じることもあり、少女は少年にとって最良の聞き手ではなかったが、少女は面白みがないからと戦闘シーンを増やせだのファンタジーならドラゴンくらい登場させろだのあまっさえ少年が苦手とする幽霊―いや、いないことはわかっているのだが―を出せだのと、無理難題を突きつけてくることはない。ましてや、話に飽きたからとストレートアームバーやフルネルソンを極めてくることもない。なんだ。最高の聞き手ではないか。
しかし、少年と少女の平穏な一時は長くは続かなかった。
「トリック・オア・トリートっ!」
大声と主にポニーテールの活発そうな少女が瞳を―妖しい程に―輝かせ、『王国』にやってきた。
彼女もまた、『王国』の住人で少年と金色の瞳の少女の『同胞』だ。
しかし、少年は新たな『同胞』の登場に顔を強張らせた。
あー彼女があんなに瞳を輝かせ生き生きとしている時は碌なことが―少年にとって―ないのは、過去の経験からいやと…厭という程思い知らされている。息を切らす程走ってきたということは余程のことだ。何だか泣きたくなってきた。神様、勘弁してください。
少年は予想される未来の悲劇―少年にとっての―を避けるべく、シールドスマイルでなんとか応戦を試みた。
「ど、どうしたの? そんなに息を切らして…あずさちゃ…」
「トリック・オア・トリートっ!!」
駄目だ。無駄だ。もう手遅れだ。ギアは既にトップへと押されている。賽は放り投げられた。
ポニーテールの少女は、来る未来に暗雲たる少年やなんの反応も示さない金色の瞳の少女を見、やれやれ困った奴らだ、と言わんばかりに肩をすくめてみせた。
「なーに辛気臭い顔してるの? 今日はハロウィンなのよ、ハ・ロ・ウィ・ン。ハッピー・ハロウィンなのよ。わかる、この重大な意味?」
「確かに今日はハロウィンだけど…それがなにかあるの? あずさちゃ…」
「シャラップ! ハロウィンと言えば子供の為にあるようなもんでしょ? 『トリック・オア・トリート』でお手軽にお菓子が貰いたい放題よ。 こーんなぼろい離れでみみっちいゴッコ遊びしてる場合じゃないでしょうが。いざ、出陣よ。トリック・オア・トリート」
「…ぼろい……みみっちい」
ショックを受ける少年の肩に、金色の瞳の少女が慰める様にそっと手を置いた。
「はい。これ付けて」
「どこから出したのさっ!?」
「………」
ポニーテールの少女は二人に黒いマントを放り、自らもマントを着用した。怪しいことこの上ない。
手には、これもどこから出しのか巨大な籠を持っている。
「さぁ、街に出発よ♪」
「ちょっ! まさか今から出かけるの!? こんな夜に!? 見つかったら大人に怒られちゃうよっ!」
「………」
「なーに言ってるのよ。ハロウィンは夜が本番でしょ? 心配性ねぇ、けいちゃんは」
「いや本番とかないから! 子供だけで夜に外出とか危ないし! …君からもなにか言ってあげてよ…って、ちゃっかり着てる!?」
少年の視線の先、金色の瞳の少女はマントの裾を掴みしげしげと眺めていた。心なしか嬉しそうだった。
「…トリック・オア・トリート」
「いや、無表情で言われても怖いし」
「はい、けいちゃんはこれ被ってね」
「へ? うわぁっ!」
ポニーテールの少女は、これまたどこから調達したのか中を刳り抜いてある南瓜を少年の頭に被せた。
しかし、その南瓜には普通はあるであろう目と口の刳り抜きはなかった。つまり、少年の視界は真っ暗闇だ。
「いぃやぁぁっ!! 暗いよ怖いよ前見えないよ取ってよあずさちゃん…って外れないしっ!」
「まぁまぁ、時間がなかったのよ。細かいことは気にせず、手ぇ繋いであげるからさっさと行くわよ」
「…ハッピー・ハロウィン」
「いぃぃやぁぁぁぁっ!! そんなにぐいぐい引っ張らないでー! それよりなによりこれ外してー!!」
数十分後、三人は案の定パトロール中の警察官に保護され、呼び出された親にこっ酷く怒られることとなる。
ポニーテールの少女は「リフジンだわ」とぶつくさり、少年は安堵の涙を流した。金色の瞳の少女は矢張り、マント眺め嬉しそうだった。
人のいい警察官が気を利かせ三人の為、籠にお菓子を詰めてくれたが―ポニーテールの少女は「足りない」と怒った―そのお菓子はポニーテールの少女が一人で食べてしまった。
それでも計画失敗による怒りは収まらなかったのか、少年は暫くの間少女に八つ当たりをされる破目になった。
金色の瞳の少女は、数日たっだ今もマントを着用していた。
ハッピー・ハロウィン?